句と首 ~その3~
昨年の分は月毎に
~その1~と
~その2~とまとめることができました。
これからは日記に更新しなかった分についても フリ-ページにまとめて
いく予定です。
句と首 ~その3~
*2008年 1月*
1月1日
新年。
小さな松ぼっくりに予感を感じました。
小さくも
松ぼっくりの
つきし枝
ひとつふたつの
善きこと ありや
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1月2日
恒例の箱根駅伝。
アクシデント続出でした。勝負の世界の厳しさを見るおもいでした。
覇者さへも
膝を折りたる
登坂ゆえ
守りたまえよ
箱根の魔物
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1月4日
お正月のお料理。飽きてしまいました。
木は森に
隠して笑う
椀一つ
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1月5日
今年の「初」は高齢者のデイサービスからでした。
ズボラな主婦は年末年始が特に苦手です。
強引に
みそか 正月
やりすごし
やれ ひとやすみ
コートでも探そうか
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1月7日
七草のもう一つのいわれを知りました。
ふと遠くの友を思います。
爪を切る
友の言葉も
思い出す
カップのチャイは
冷めてなお香る
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1月9日
高齢者の現実。
今年も避けては通れない問題です。
「ボクは今日
どこへ行くか」と
問う義父に
日課となりし
初期化設定
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1月13日
チャイの美味しさに目覚めました。
小さな楽しみはいくつあっても嬉しいものです。
反抗期の
娘に吐息
つかせるは
a cup of chai
母はかなわない
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1月16日
いろんなことが重なります。
少し疲れたみたい。
赤きもの
黄色きものより
出るちから
私の不調も
治してくれる?
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1月23日
初雪が降りました。
まだほの暗い駅までの道。みな急ぎ足でした。
朝方の
ライトに浮かぶは
雪なれど
出かける人の
今日もたゆまず
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1月25日
古い梅なのです。
父はこの梅が気に入って辺鄙な里に家を建てました。
春待たず
出かけて逝きし
父宛てに
庭の古梅は
ひっそりと咲く
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1月26日
日の出など
待たずに歩む
その 老女は
徘徊道の
師範となるか
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1月27日
飲み込めぬ
塊ひとつ抱いたまま
刺さる言葉を
再びなぞる
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*2008年 2月*
2月3日
雪の節分になりました。
雪国の方には笑われそうなくらい都会の雪は大騒ぎです。
それぞれの
予定もかえし
たまの雪
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湿雪の
音まで消して
早じまい
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2月4日
立春です。
鮮やかに
光とじこめ
垂れ落つ
昨日の雪は
今日の賑わい
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2月5日
おもむろに
飛び立つ羽は
きみどりの
細かき実 散らす
雪どけの庭
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2月7日
中華街では春節が始まります。
ふるさとの街ではランタンフェスティバル。
父の命日と重なるお祭となりました。
旧暦の
祭にぎわす爆竹に
思い出すのは
やはり亡きひと
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2月9日
義父の認知症。
もうすでに超人間かもしれません。
まだ しかし
「限界」の言葉
使うまい
疲弊 閉塞
次は何くる
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「凌ぐしか
道はないの」と
泣く義母に
時には晴れよ
晩節の空
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度々に
境界越える
義父なれど
実は哀しき
己のすがた
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2月10日
雪もとけ
甘い香りも
まだ漂う
めいめい平和な
連休の午後
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2月13日
今日はまだ
詫びる理性の
ある義父の
遠くに見ゆる
吾はつめたき
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2月16日
細枝と
戯れながら
啄ばむ子
白きメークの
目元すずしき
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2月19日
憂きことも
嬉しきことも
ひとつずつ
このバランスが
塩梅か
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2月27日
迂闊さを
笑って終う
さらの月
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久々に
二月の長さ
憂く思う
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*2008年 3月*
3月2日
一株の
蕗を見つけて
沸く声は
薹のパワーか
漲るものあり
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3月3日
またひとつ
うちあけ話
雛の宵
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3月4日
寒施行。みかんを枝にさすと すぐに羽音がしたり鳴き声が聞こえたり。
鳥達の目のよきことに
驚きつつ
今年最後の
おふるまいする
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陽だまりに
あずける背中
ぬくもりて
金柑の種など
並べてみる
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3月8日
咥えたる
ボール忘れて
寝転ぶ 犬
空は深いか
空は丸いか
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3月11日
満面の
笑み整いたる
花姿
笑い顔文字に
似てるともおもう
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3月16日
うなだれし
細き首元
荒ぶれる
挙動と言葉
どれも義父なり
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悔いはなし
刻みたきもの
すべて鍋
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聞こゆるは
普通に過ごせの
声ひとつ
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3月18日
塊も
疎らにあるも
白木蓮
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ふるまいの
鋏たたずや
白木蓮
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3月19日
チベットにも柔らかい春は来るのでしょうか。
まつろわぬ
人等のつぶて
春さ中
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ほろにがの
ほろは何色
春あした
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3月20日
池浚う
借りたきものは
かえるの眼
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スイッチは
思わぬ時に入るもの
「ボクだけ普通」
言い切る義父よ
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3月26日
背筋伸ぶ
見知らぬ街の
春はつめたき
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3月27日
渾身の
力集めて
つぼみかな
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3月28日
工事など
そしらぬ風の
古桜
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いびつも可
三枚ほどの
春来る
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3月29日
目映ゆさに
空へ溶けゆく
桜かな
|
幟咲く
ぼんぼりと人と
花さへも
|
~その4へ~